「ほんまに監獄みたいやと思います」
帯に書かれた一言に惹かれ、つい購入してしまいました。
「ルポ 超高級老人ホーム」 甚野博則著
をご紹介します。
概要
入居一時金4億円を優に超える超高級老人ホーム
余生を優雅に過ごす老人たちに憧れを抱く人は多いのではないでしょうか。
一方で金を持った老人たちが張り合い、威張り散らかしているという印象もある。
謎のベールに包まれた超高級老人ホームの入居者、職員たちの証言を基に闇に迫る…。
おすすめポイント
高齢者だけが集まった閉鎖的な住空間に根付く独特の世界―。
ここには、そんな特異な雰囲気が漂っていた。
引用:「ルポ 超高級老人ホーム」第2章「入居カースト」でマウンティングし合う高齢者たち p69
本書は前の文のようにミステリ調に話が進んでいくので、
とにかく先が気になり、ルポルタージュ作品に慣れていない人でも読みやすいです。
超高級老人ホームの実態
特に面白いと感じたポイントとしては、第4章「老人は二度死ぬ悪徳施設への潜入取材」での、
老人ホームの問題を指摘している章がとても面白かったです!
筆者が取材したとある施設で印象に残ったエピソードをご紹介します。
1食6000円もするのに!?超高級な食事の闇
1食6000円。庶民の私にとってはなかなか手が出せない…。
しかし超高級老人ホームではそれが普通。
値段が高いということはそれ相応の質を求めますよね。
しかし、この施設では、調味料にカビが生えているのにそのまま放置。
あるスタッフが上司に報告するとそのまま使用するように上司に忠告されたとのこと。
また、デザートとしてみかんが出ると献立に書いてあったので、当然1個もらえると思いますよね。
しかし、まるまる1個ではなく、1房だけだったそうです。
1個でも少しけち臭いと思った私は1房と知った時は驚愕でした。
世間体ばかり気にする施設
介護業界では、人手が足りないといわれていますよね。
超高級老人ホームも例外ではありません。
この施設では、入浴介助をする際に、入居者1人に対して2人で補助をすることがあるそうで、
あるスタッフが体の大きい方の介助を行った時、未然に事故を防ぐために上司に手助けを頼んだところ、怒鳴られたそうです。
以前テレビの取材が入った時は、スタッフを集めて入浴介助をするときは手厚いサポートがあるように
見せていたのにです…。
能ある鷹たちへ
今回は「ルポ 超高級老人ホーム」をご紹介しました。
謎のベールに包まれた超高級老人ホームを暴いていく様子はとても面白かったです。
しかし、注意しておきたいのは
すべての老人ホームが本書に登場した施設のようではないということです。
本書で登場したのは、悪徳な老人ホームの一例であり、良い施設もあれば、悪い施設もある…。
どんな業界でも同じように老人ホームも同様だということを留意しなければなりません。
また、本書では著者の表現の誇張をしている部分が多くあると感じました。
ただ、現実として悪徳老人ホームは存在していることも確かです。
そんな施設の実態を知りたいと気になった方は是非読んでみてください!
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