【その筋肉は真実か嘘か】―フェイクマッスル/日野瑛太郎―

 最近、若い年代を中心に体を鍛えるブームがありますよね

私の友人にも、週4回ペースでジムで筋トレに励んでいる友人がいます。

そんな筋トレ×ミステリーという独特な設定で第70回江戸川乱歩賞受賞した作品

「フェイク・マッスル」をご紹介します。

江戸川乱歩賞って何?歴代受賞作のおすすめは?↓

あらすじ

主人公は週刊誌の新人記者・松村。  

ある日彼は、人気アイドルの大峰がオープンさせたパーソナルジムへの潜入取材を命じられた。

というのも大峰がたった3ヵ月のトレーニングで、ボディービル大会の上位入賞を果たしたからだ。

SNS上では、「短期間であの筋肉ができるわけがない、あれは偽りの筋肉だ」と、ドーピングを指摘する声が持ち上がり、炎上状態となる。

大峰の筋肉は真実か嘘か?

       

感想

あらすじを見ただけでどんな内容か気になりますよね!

以降は、私が面白いと思ったポイントを3つご紹介します。

面白いポイント①魅力的な主人公

主人公の松村、出版社の文芸編集者を志すも、就職あるあるの希望した部署に配属されず、興味のない週刊誌へ配属。

この部署は、文芸部に行くための腰掛けというつもりで淡々と過ごす毎日。        

挙げ句の果てには、

この仕事向いてないんじゃないか?」と考えるようになる。

↑この気持ちみなさんも理解できませんか?笑

私も大学生から社会人になる時、自分が思い描いた人生の通り進まず、挫折する事ありました。(笑)

主人公の松村は誰の中にもある普遍的な感情を体現したような存在。

だからこそ彼に感情移入がしやすく、物語を通じて彼のことがどんどん好きになりました。

彼はその挫折に腐らず、潜入取材を成功させようと食らいつていく。その過程で、80キロのバーベル、尿を獲得など様々なミッションを通じて、「筋トレ」にどんどんはまっていく。

そして「筋トレ」を通じて、肉体的な変化だけでなく精神も成長していく姿を楽しむことができます。

面白いポイント②興味を引き付ける設定

なんと言ってもミステリ×筋トレという他に類を見ない設定で序盤から引き込まれました。

殺人事件が起こるわけではないのですが、どんどん展開が気になり、サクサク読み進めます。

小説としては、独特な設定でも、現実ではありそうな事件をテーマにしているため妙にリアリティがありました。

面白いポイント③とにかく読みやすい

私の好きなシーンをご紹介します。                    

以下シーンは、馬場(松村の筋トレの師匠のような人)のアドバイスを受け、松村が80キロのバーベルを持ち上げようとするシーンです。

「いいかい、まずは背中でしっかりアーチを作るんだ」

馬場のアドバイスが頭上から降ってくる。

俺は小さくうなずいてから、まずは吸って、吐いてと小刻みに二回ほど呼吸を繰り返した。

続いて馬場に言われた通りに、肩甲骨をできるだけ寄せて、背中にアーチを作る。そのまま手を前に突き出してバーベルを握った。

講談社「フェイク・マッスル」日野瑛太郎p59

いかがでしょうか?

この場面を読んだ時は、自分がバーベルを持ち上げてるような感覚になり、松村の情景がありありと目に浮かんできました。

私のように筋トレに関する知識がなくても、

今すぐにでもジムに行ってトレーニングできるくらい、読みやすさがありました。

脳ある鷹たちへ

ミステリー×筋トレという入り口から、筋トレの細かい描写から筋トレに関する知識がなくても読みやすく、物語を通して、主人公が筋トレに対しての意識の変化と人としての成長が描かれていたので、とめどなく読み続けられる作品でした。

・ミステリを読んだことない方・この作品が気になった方へ            

おすすめしたい作品です!

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